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はい、やって参りました。『夏の海で1時間遊んだだけで両腕に火傷を負った女』みくりさんです。
こんなことを言うと自慢と思われるかもしれませんが、私すごく肌が白いんです。
「羨ましい」とか「色白は七難隠す」とかよく言われますが、声を大にして反論したい。

写真は白飛びするし毛穴は目立つし日焼けしたら大変だしなんもいいことないよ!
悲しいことに、子どもの頃から真夏の海ではしゃぐなんて夢のまた夢なのです。

海かあ…サーフィンとかいいよな~。
仕事中にもかかわらず、ポチポチとマウス片手にネットサーフィンを満喫。(サーフィン違い)

何ッ!?特許取得のすじ青のり採苗方法だって!?

すじ青のりと言えば徳島の名産品。
誇らしいことに収穫量日本一としても全国的に有名ですが、ここ数年で一気に取れ高が激減。その現状は非常に厳しく、収穫量は2015年からの5年間で約10分の1にまで落ち込んでいます。すじ青のりを扱う食品会社では商品の製造を一時中断するなど、全国でいろいろな企業・個人がその対策をあぐねいているそうです。
そんなすじ青のりの画期的な種付け方法が開発されたと知り、興味半分、海に行きたい気分半分(ダメだろ)でさっそく車を飛ばして北灘の海へと向かうことにしました。
漁師経験ゼロ。研究畑で培った知識を頼りに起業。

小雨の降りしきる中、北灘の港のすぐそばに直径約2メートルにもなる巨大な水車が並ぶ場所がありました。こちらが井川直人代表の運営する『徳島のり採苗センター』です。井川さんの前職は『兵庫のり研究所』の研究員で、長年黒のりの養殖方法についての研究をされていたのだそう。その後自分で新たな技術を生み出そうと考え一念発起。退職金などを投資して、同センターをおひとりで設立されたという経緯があります。すごい熱意です!

今日は作業はされていないんですか?
はい。基本的に作業は10月以降、晴れている時だけの作業になります。採苗するには日光が大事ですからね。


あの大きな水車を使った新しい採苗方法とはどんなものなのでしょう?
この水車は本来なら黒のりの種付けに使っている機械なのですが、そのままま黒のりと同じ手法を使っても種はつきません。すじ青のりの種は、暗いところと水流に向かって泳いでいく習性があるのでそれを利用します。まず水車に種付け用となる網を100枚ほど巻きつけます。網を幾重にも巻くことでその厚みが暗がりを作ります。そこへ目がけて種が潜っていくので採苗が行えるというかたちになります。水車を回すことで水流も出来ますし、なおかつ種が網に均一に付くようになります。ちなみに暗さを出すためには種網の色も白より色付きのものの方がいいんですよ。実際に網を巻いている時の写真がこちらです。



なるほど…。採苗の作業だけをこちらで行って、あとは海で育てるんですね。収穫後は天然のすじ青のりとして市場に出回るんですか?
もちろんです。海苔の生産者は1人あたりだいたい1000枚ほど網を所有しています。それを川に張り、2~3週間かけてただひたすら種がつくのを待つのが従来の手法です。今回私が考えた方法なら、いっきに100枚ほどの網に約1~3時間で種付けが完了します。採苗がきちんとできているかどうかも、4~5日この施設内のプールで様子を見るので安心していただけます。




時間や労力を考えても断然新しい手法の方がいいですよね。温暖化の影響で徳島のすじ青のりの収穫量は激減していると聞きますが、この方法が広く周知されれば回復も見込めるかもしれませんね!
近年すじ青のりの収穫量が激減している件に関しては、水温の上昇が原因だという説が多いですが、私はそうは思っていません。


えっ!? 他に原因があるんですか?
温度の上昇が原因というなら、1年中ずっと水温が上がり続けているわけではないので一定になる時期には多く収穫できるはずだとおもいませんか?


確かに…。
でもずっと採れない状態が続いている。これは種が場の環境に適していないからだと考えています。川に網を張る方法ではどんな種が付くのかを選ぶことはできません。反対に、うちで母藻として使用しているのは去年収穫実績のあるものなのでその点に関しては間違いない種を付けることが可能となります。


なるほど! じゃあ尚更この技術を用いない手はないじゃないですか!
でも新しいものには反発もつきもので…。


もったいない限りですね。
素人の私が聞くだけでもとても画期的な採苗方法のように思います。
事実、県外からウワサを聞きつけて採苗の依頼が来ることもよくあるのだとか。
近県の方ならトラックに網を積んで直接訪れ、遠方の場合は網だけを送ってもらい、種網が完成したら冷蔵車で配送することが可能なのだそう。とっても便利ですよね!

あ、すいません。今日も依頼主さんが来たようです。


すごい人気ですね! すいません。私はこれで失礼します。ありがとうございました!
あわわで取材をしていると今まで知らなかったこと、見たことのないものに出会う機会がたくさんあります。今回はその中でもダントツに刺激を受けた取材でした。こんなに素晴らしい技術を持った方が地元徳島にいるだなんて、本当に誇らしいことだと思います。
この技術が徳島の名産品を救う日はもう間近に迫っているのかもしれません。