宿・ホテル・旅館
2020/05/13 12:34
あわわ編集部

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

徳島県内には、築100年以上の建物も多く年季の入った柱や梁など、当時のまま残されている部分がたくさんあります。

一体どんな歴史があって、どのように愛されてきたのでしょうか。知ってみると、より楽しめるかもしれませんよ♪

長い時間が作り出す、懐かしくて愛おしい空間をゆっくり味わいにいきませんか。

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カフェ&レストラン編
和食編

花瀬庵&Bar theKURA蔵(はなぜあん&バー・ザ・クラ)/那賀郡那賀町


築およそ100年/大正後期の古民家
今なお魅力を増す美しき結晶ガラスよ

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲昨今のレトロブームから、昭和時代っぽく加工したガラスをあえて使用している場合もありますが、こちらは正真正銘の昔のガラス。白く靄がかかったような模様に心を奪われます。

『花瀬庵』の結晶ガラスは大正時代に納屋を建てた時から変わらず。現在は階が食事スペース、階が宿泊部屋となっていて、ガラスは階正面に入っています。

近づくと繊細な模様で、うっとりとみつめてしまう。ガラスだけでなく天井や梁、柱もほぼそのまま。ここはオーナーの吉岡さんの生まれ育った場所なので思い入れも強く、またもともと使っていた杉・松・ヒノキの木の品質が良いため、なるべく手を入れず残したとのこと。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲1階の食事スペース。酒好きの吉岡さんが飲んでうまいと確信した瓶をズラリと並べる。

「この地域は昔は林業で豊かだったようです。曾祖父が建てたのですが、木を切って製材、干して加工までを行い、今では考えられないほど年月をかけて作った。先祖からの贈り物なのでなるべく変化させてしまわないよう、改良を加えながら次世代につなぎたいと思っています」と吉岡さん。

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▲法事など、昔の行事ごとは大人数で行っていたことがわかるほど、多数の食器がそろう。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲「先祖が器が好きだったみたいで、大事に保存していたから今も使用できる物ばかり」と吉岡さん。

インテリアについても前からあるものを再利用したいと考えていて、風格あるタンスはおばあさんの嫁入り道具であり、建具を直してよみがえらせました。

その中に収納されている食器の数々も先祖からの受け継ぎ物。「法事や葬式など行事は各家庭で行っていたから、お膳に使うような器が一式、数多く残っているんですよ」と話す。食事はそれらの食器を使っていて、中にはかなり値の張る物や有識者が目を見張るような珍しい器(第一次世界大戦がモチーフのおちょこなど)もありますよ。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲改修前の『花瀬庵』が写っている写真。今とほとんど変わらない様子が見てとれます。

宿泊客だけではなく予約制で日帰り客にランチやディナーの提供も行っているので、古い器に興味があるならぜひ予約を。そのほか、敷地内にはかつては米や貴重品を貯蔵していた蔵も残っていて、こちらはバーとしてオープン。

中は現代風だが、屋根の瓦の貫禄には圧倒されます。歴史を経てきたものだけが醸し出す〝凄み〞を存分に感じてみて♪

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

2日前までに予約の[花瀬庵ランチ]は1名2,200円で、2名以上から注文可能。ディナーの予約も可(1名3,300円・2名~)。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲元は納屋であり、地下には牛舎が。当時は農業において、牛が重宝されていました。

《データ》
山宿
花瀬庵&BartheKURA蔵(はなぜあん&バー・ザ・クラ)
Tel.0884-66-0150
那賀郡那賀町花瀬字花瀬73

●料/素泊まり4,180円、1泊2食付8,580円●P/10台
●HPは「花瀬庵」で検索
●カード可
●フリーWi-Fi
ホームページ

真鍋屋/三好市池田町


築150年/明治3年の古民家
時の流れを見つめてきた庭の大きな松の木

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲カフェスペースをはじめ、店内のどこからでも見ることができる大きな松の木。見守られているような不思議な安心感を覚えます。この庭で結婚式を挙げたカップルも。

その昔、刻みたばこの産地として栄えた三好市池田町。真鍋家当主・真鍋武蔵もその製造を始めた一人であり、幕末、大老・井伊直弼が暗殺された1860年のことだったと伝わっています。

1905年に製造を辞めたあとはしょうゆの製造業にシフトし、『真鍋屋』の一角、カフェスペースとコワーキングスペースがある場所は当時蔵でした。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲蔵の改修時に発見された、『テンシン醬油』時代に使われていたであろう法被。

大きく立派な梁が、真鍋家の栄華を物語る。さらに店内には蔵から発見されたしょうゆ屋さんの法被や、今はもう動くことのない時計が飾られています。時は流れ平成年、当時の当主によってたばこ関連の資料や版画などを展示した『まちかど資料館』となり、平成9年に三好市に寄贈されるのでした。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲[さつまいもモンブラン](300円)。スイーツは常時2~3種類あり、不定期に内容が変わります。

その後、文化と歴史が交差するこの場所をさまざまな人が交わる場所にしたいと、現在の交流拠点施設へ。庭に面する壁は一面ガラス張りの現代的な装いにりましたが、外観は当時のまま残し、古い時代と現代が交差します。

そんな真鍋邸の移ろいを静かに見守ってきたのが庭に植えられた大きな松。樹齢は100年以上になり、どっしりとこの地に根を張り続けています。きっとこの先の100年も、真鍋邸の進む道を見つめ続けるでしょう。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

指定管理者『三好みらい創造推進協議会』の小西さん、大掛さん、渡辺さん(左から)。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲当時の趣を残した杉尾通りに面する入口。この通りは昔飲食店でにぎわったそう。

《データ》
真鍋屋MINDE(まなべやミンデ)
Tel.080-1993-2000
三好市池田町マチ2226-3-1
営/11:00~18:00
休/火曜
席/36席
P/ 8台
●カード不可
●フリーWi-Fi
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ホームページ

辻のいろり(つじのいろり) /三好市井川町


築129年/明治24年の古民家
繁栄と戦火歴史を刻み続けてきた風体

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲2階の壁一面に残る墨で塗られた跡が印象的。夏ごろから店内の改修工事が始まる予定ですが、この黒塗りの部分をはじめ、外観はすべてそのまま残す方針。

毎週土曜の朝、井川町辻エリアはにぎやかだ。国の登録有形文化財に指定されている古民家で、7年前から朝市が開催されているのだ。地域で採れた野菜や、地元のお母さんの手作りみそなどの販売のほか、手打ちうどん・そばを店内でいただくこともできます。

この建物はもともと山下さんという方の別邸だった。しばらくして山下さんが呉服屋さんに家を貸し、昭和30年代まで営業していたそうだ。辻も池田町などと同じく刻みたばこで栄えた町で、うだつの上がった屋根や入口周辺の青石など、この家にも当時の繁栄の名残が見て取れる。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲見上げると、たばこの葉。その奥には、素晴らしい梁や柱もよく見える。

いつごろからある建物なのかずっと不明でしたが、文化財の調査中に思いがけず発覚。天井裏から「明治24年」と書かれた棟札が出てきた。

ところで、年季の入った扉や立派な丸瓦の屋根もさることながら、目に飛び込んでくるのは階の外壁に書かれた黒い模様ではないでしょうか。もちろん落書きなどではありません。戦時中、夜間の空襲に備えて白い壁が空から見つかりにくいように、わざと墨で塗った跡で、この黒塗りが残っている建物は少ないとのこと。

繁栄の明治・大正時代を経験し、昭和に戦火を逃れて今に残っている。そんなことを考えると、無性に愛おしく、感慨深いですね。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲新鮮な野菜が並び、白菜1玉50円など、どれも超破格!店内奥はキッチンスペース。

 《データ》
辻のいろり(つじのいろり)
Tel.090-7575-6663
三好市井川町辻332
営/土曜の7:00~11:00
席/14席
P/ 20台
●カード不可

galerie のきは/徳島市庄町


築およそ100年/大正後期の古民家
夫の思いと職人魂が繋がりギャラリーへと再生した長屋門

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲国道から奥に入った住宅街にあり、昔の面影を残しつつ、かなり手を入れたそう。写真ではわかりにくいですが、看板の「のきは」は活版印刷の文字を使って作られています。よく観察してみて。

「この長屋門は藍商だった先々代の名残です」と店主の佐藤さん。2001年にギャラリーをスタート。以後、佐藤さんが憧れてやまない作家の企画展のみを行ってきました。実力を備えた名のある作家ばかりで、展示のたびに「徳島でこの作家の作品が見られるなんて!」と、驚きと喜びの声が上がる稀有な場所です。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲撮影時は展示はなかったが、こちらに作品がズラリと並ぶ。不思議とどんなテイストにもマッチ。

再生の決意は〝夫の急逝〞。失意から3年後、ともに夢見ていた「ギャラリーの構築」に着手。改修へのこだわりは興味深い物語も積み重ねており、古材が足りず困っていたら提供者が奇跡的に現われました。高速道路の敷設で立ち退き解体を迫られていた家の当主が「この家、自分の山から切り出した木で建てたんじゃ。あんたがつこうてくれるんならうれしい」と申し出てくれました。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲以前に企画展を行った作家の作品であるひな人形。細部までじっくりと見たくなるほど素敵。

大工さんいわく「二度と手に入らない貴重な肥松」であり、余すことなくいただきすべてを生かしたとのこと。存在感のあった梁はギャラリーの展示台となっています。職人さんたちとの熱い絆をはじめ、この場所にはたくさんの思いが詰まっているからこそ、褪せない魅力を放ち続けているのです。

《まとめ》なんと100年以上!愛され続けた古民家の今③お出かけスポット編

▲庭に埋まった瓦が素敵な様相。これは左官屋さんが「ちょっと遊ばしてよ」と無料で施してくれた。

《データ》
galerieのきは
Tel.088-632-6818
徳島市庄町1-52
営/企画展開催時の11:00~17:00
P/有
●カード可

※この記事は、2020年GEEN4月号で掲載した内容です。

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