《まとめ⑨》「徳島の今を語る」~マイフェイバリット徳島①~

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私が四国遍路の研究を始めたのはカナダの大学で日本の歴史を専攻し、日本民話の中に弘法大師が出てきたことがきっかけです。その後ご縁があり徳島の大学に就職が決まり、そこで四国遍路の説話により深く興味を持ちました。説話とはいわゆる昔話のこと。四国八十八箇所の寺それぞれに独自のエピソードがあり、その寺で起こった不思議な現象や伝説が記録として残されていま。説話を研究する中で衝撃を受けたのが『立江寺』。背筋がぞわぞわとするような説話が多く残されているからです。四国遍路にまつわる説話は、足の不自由な人が歩けるようになった、目が見えなかった人に視力が戻った、というようなご利益がある説話。そして、悪い心を持つ人が寺にこんな怖い説話もあるのか、と衝撃を受けました参拝すると立ちすくんで動けなくなったという不思議な現象が起こる説話の2 つのタイプが多いのですが、その中でも、立江寺にはちょっと怖い説話が残っているんですよ。約百年前に発行された『立江寺霊験記』の中に「肉付鐘の緒」という、この書物で唯一のイラスト付き説話があります。イラストがあると想像がしやすいですよね。頭の中に映像が浮かんできて、思わずぞくっとしました。この説話をかいつまんで紹介すると、不倫相手を手引きして夫を殺した女が立江寺に参拝したところ、突然女の髪が逆立って鐘の緒に巻き付いて頭皮ごとはがれてしまったという怖い話。その後、女は心を入れ替えて地蔵尊を熱心に信仰し、その鐘の緒は現在も寺にまつられている、と締めくくられています。ホラー要素が強いけれど、これは善事をすすめて悪事を懲らしめるという“ 勧善懲悪” の精神を伝えている話で、どの説話にもこの精神が含まれています。四国遍路の説話は人間味あふれる話が多く、私がこの分野を愛する要素の一つです。今回紹介した「肉付鐘の緒」はちょっと怖い話ですが、「悪いことをするとばちが当たる」という教訓がとても分かりやすく描かれています。このような説話を知らないという人が非常に多いので、広く知ってもらいたいですね。四国遍路を研究して20 年以上ですが、いまだに発掘されていない話もあるかもしれないと思うとロマンを感じずにはいられません。

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