鳴門海峡の渦のまち・鳴門市の西部に位置する大麻町。
古社寺が点在する、古くから信仰の聖地であり、お接待で培われた人情味が溢れる町です。
そんな大麻町には、大谷焼をはじめとした、
さまざまな体験施設が並んでいます。どれも、大麻町でしか楽しめないものばかり。
そんな大麻町の体験施設を徹底取材します。 |
大麻町といえば、風情豊かな街並みが魅力。
その中でも、特に印象的なのは隣り合う酒蔵と醤油蔵。
今回は、古くから続く蔵のひとつ『福寿醤油』さんに行ってみました。
今回、見学してくれたのはこちらのふたり。

昨年のミスコン紹介記事にも出てくれた東條さんと東さん。どちらも栄養士を目指して勉強中!
こちらもチェック!→【連載】徳島県内3大学ミス&ミスターコンテスト事前特集/徳島大学 蔵本キャンパス・ミスコン編
毎日あたりまえに使っている醤油がどういう風に作られているのかとっても気になります!
食や健康に携わるひとりとして、楽しみながら学びたいと思います。

迎えてくれたのは福寿醤油9代目であり、代表取締役でもある松浦亘修さん。
大学卒業後、不動産会社や派遣会社の営業マンを経て30歳の節目を期に家業を継ぐ。
食育の一環で『しょうゆ もの知り博士』として小学校を訪れ、
出張授業などをおこないながら、醬油の啓発に努めています。
ようこそ、福寿醤油へ。今日は醤油がどういう風に作られているのかを見学していただきます。ちなみに、醤油はなにから作られているか、知っていますか?
正解です!ただ、あともうひとつ大事な素材があるんです!ちょっと難しいかもしれませんね。
大正解!さすが栄養士を目指して学んでいるだけありますね!醤油は『大豆』と『塩』、そして『小麦』の3つからできています。実際に蔵の中を見ながら、醤油の作り方を学んでいきましょう。

栄養学の知識はバッチリなふたり
その前に、まずは『福寿醤油』の歴史を簡単にご説明します。創業は文政9年、西暦でいえば1826年。初代である利八郎が江戸時代中期にここへ移住し、二代目・平兵衛が徳島の気候とキレイな水に着目して醤油製造業を始めました。
1826年だから・・・今から194年前!?すごい歴史ですね!
僕が9代目ですから、かなり長いですよね。創業以来引き継がれてきた製法を今でも守り続けていますが、原料から醤油を製造する蔵も今では少なくなってきました。
お味噌やポン酢、めんつゆやだし醬油なども作っていますよ。あとで自慢の醤油のテイスティングもしていただきますのでお楽しみに!それでは、まずは『製麹(せいきく)』を見ていただきましょう。

風情溢れる蔵内を歩くだけでも楽しい
『製麹(せいきく)』とは、文字通り“麹(こうじ)”を製造すること。炒って粉砕した小麦と蒸した大豆を合わせて醤油麹(しょうゆこうじ)を作っていきます。

このふたつの機械を通して、小麦と大豆を処理していきます。もちろんまだここでは普通の大豆と小麦なので、食べることもできます。
炒った小麦、蒸した大豆を麹室(こうじむろ)へ移します。それが・・・こちら!

どーん!入れ物いっぱいにぎっしり詰まった小麦&大豆
麹の元である“種麹(たねこうじ)”を加えて、1日2~3回撹拌(かき混ぜること)しながら3日間発酵させます。

だいたい1日目の麹
麹は発酵するときに熱を出すんです。麹は生き物ですから温度と湿度管理は非常に重要。25~32度、湿度は70%をキープして、発酵を促しているんですよ。

すごい熱気で曇っていますが、こちらが3日目の麹
先ほどと比べると、黄色くなっているでしょう?これが発酵が進んだ状態で、この状態が“醤油麹”です。

巨大なプールにたっぷり!落ちないように気をつけて!
このプールには、先ほど出来上がった“醤油麹”と“食塩水”が入っています。この状態を“もろみ”と言うんですよ。
そうそう!このもろみも生きているので、2~3日に1回、冬は3~4日に1回混ぜて熟成させていきます。この“混ぜる”というのがポイントなんですが、だからといって混ぜすぎてもダメなのが難しいところ。かまったり、かまわなかったり・・・僕はこれを“彼氏の扱い方と一緒”と言ってます(笑)。
通常の蔵であれば、このもろみの熟成は6カ月ほど。しかし、福寿醤油の場合は1年以上熟成させるんですよ。
通常6カ月と言いましたが、大手の醤油メーカーならもっと短いと思います。安く、大量に生産するには仕方ないですよね。ただ福寿醤油は1年以上。このじっくり時間をかけた自然発酵こそが、醤油本来の香りと深みのある旨みを生み出しているんです。
あと、もうひとつ大事なものがあります。蔵の壁や柱を見てみてください。

いたって普通の柱ですけど・・・なんか白いのが付いている??
そうなんです。これは“蔵付き酵母”といって、福寿醤油の宝。長年醤油を作る間にこの蔵に住み着いた菌なんです。この菌が発酵を促すおかげで、ほかとは違う福寿醤油だけの味が生まれるんです。

続いては『圧搾』を見学
熟成させたもろみを麻布で包んで、機械で上からじっくり圧をかけて醤油を絞るのが『圧搾』です。
これ、全部もろみを包んだ麻布なんですか!?何枚くらいあるのかな?
全部で300枚ですね!ゆっくりゆっくり、1日かけて圧力を加えていかないと、崩れたり布が破れたりしてしまいます。

麹作りに仕込み、圧搾・・・時間と手間ひまをかけて作られているんだなぁ。

この後も、火入れや味付け、出荷にいたるまで色々教えていただきました!
醤油づくりを見ていただいたところで、ここからは醤油の試飲をしていただきましょう!

福寿醤油、自慢の6種類をテイスティング!
醤油と一口に言っても、さまざまなタイプに分かれます。というわけで、早見表を用意しました!

わかりやすいように5種類としましたが、大豆と小麦の配合、塩分量、熟成期間などを変えることで、色々な醤油を作ることができます。福寿醤油では、30種類の醤油に加えてポン酢などの加工品、ドレッシング、お味噌なども製造しています。
家には普通の醤油1本しかないけど、色んな種類があるんですね。

種類がわかったところで、いざテイスティング!

どれもめっちゃおいしい~!!!
よろこんでいただけてよかった。醤油って奥が深いでしょう? 正直、スーパーに行けば低価格の醤油が並んでいます。それらを否定はしませんが、やはり手間ひまかけて作る醤油はおいしい。これからも先代の製法を守りながら、おいしい醤油を作っていきたいですね。お気に入りはありましたか?

私のお気に入りは『天然醸造しょうゆ』。すっきりシンプルな味わいながら、なんにでも合いそうなオールマイティさがいい感じ!いつも使っている醤油とは違います。
天然醸造しょうゆ二年仕込み(720ml) 価格:926円

私は『再仕込醤油』かな。通常の醤油よりも長い時間熟成しているだけあって、とても濃厚な味わいにびっくり!刺身にも合いそう!
再仕込醤油310ml 価格:710円

気づけば醤油ワールドにハマったふたり。実家へプレゼントする醤油を選んでいました。
文政9年から脈々と受け継がれる醤油づくり。
そこには、先代の思いと“おいしい醤油を作りたい”という、
9代目の思いがありました。
大量生産とは反対をいく福寿醤油の醤油は、
ぜひ醤油蔵を見学して、味わってみてください。

福寿醤油の商品は直売所や県内スーパー、お土産ショップなどで販売中。ネット通販も可能。
醤油蔵見学
営業時間 |
月~土 9:00~17:00 |
見学所要時間 |
約30分※見学後は醤油のテイスティングあり |
予約制 |
要予約 |
料金 |
無料 |

醤油蔵の外にある使い終わった大きな樽と記念撮影(笑)!
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